令和4年第2回定例会 二日目 一般質問

成年年齢引き下げについて

 児童養護施設などを退所した、いわゆる社会的養育経験者が様々な生活上の課題を抱えた際の支援が重要と考える。こうした社会的養育経験者への支援を区はどのように考えているか。

 社会的養育経験者は4年制大学に進学した人のうち約2割が中退、就職後も約1割が3ヶ月以内に離職するなどの状況が、厚生労働省資料に記載されている。社会的養育経験者の自立を支援する新たな事業である社会的養護自立支援拠点事業を含む児童福祉法などの一部を改正する法律が令和4年6月8日に成立した。この事業では社会的養育経験者が集える場所を整備し、個々に寄り添った相談を行うとともに、必要に応じて各種制度の利用支援を行うこととされている。6年4月の施行に向け、都道府県に必要な措置の実施を努力義務としている。区でも、仮称大田区子ども家庭総合支援センター開設に向けて、子どもの権利擁護や自立支援などについて検討するため、アドバイザー会議内に課題別分科会を設置した。分科会で社会的教育経験者の自立支援についても検討する準備を進めている。国や都の動向を注視するとともに、分科会で議論を深め、社会的養育経験者の地域における安心した暮らしと自立を支援する仕組みづくりを検討していく。

 新たに賃貸借契約を結びづらい高齢者などを対象に行っている居住支援と同様の取り組みを児童養護施設卒園退所する新成人に行う必要があるのではないか。

 元年に大田区居住支援協議会を設立し、住宅確保要配慮者として、高齢者、障がい者、ひとり親や生活保護受給者、外国籍住民世帯を対象とし、世帯状況やニーズに応じた支援を行っている。現在、児童養護施設退所者は、居住支援策の対象ではないが、契約行為などの社会経験不足や相談者が身近にいないなど、住まいの確保を含め課題がある。このような方から相談を受けた際は、事情をよく伺うとともに、丁寧な対応に努めている。また、児童養護施設退所者に対する個別支援については、生活福祉課や大田区生活再建就労サポートセンターJOBOTAをはじめとした関係機関が相互に連携し対応している。住まい確保は、他自治体における支援の実施状況などを踏まえ、更に研究していく。

 現在、区立学校においては、社会人になるまでに見つけるべき契約などの知識はどのように習熟させているか。

 児童生徒は社会科、家庭科、特別の教科、道徳の授業の中で、契約に関する法律や仕組みについて学んでいる。法律については、授業で消費者契約法に触れ、経済活動を営む上で大切な契約の重要性や守ることの意義、また企業や個人の責任についても学習する。仕組みについては物やサービスの選択、購入などに必要な情報を収集整理し、適切に行動できるように指導している。児童生徒は、お金の使い方や買物の仕方、消費者の役割について学習する。また、売買契約上のトラブルやその対応などについても学ぶ。例えば、支払方法について、インターネット上の通信販売の場合には、いつ契約が成立するかを考えさせたり、キャッチセールスや悪質な訪問販売などの状況を想定したロールプレイングを行ったりして、売買契約において消費者被害を予防するための知識や技能を身に付ける。今後も、成年年齢引き下げを踏まえ、消費者として備えるべき知識や判断力が身に付くよう、消費についての授業を工夫しながら、小中学校における消費者教育などを進めていく。

 外郭団体から講師を招く各種教室は、学校長が主導して決めていくことであると考えるが、教育委員会がこれらの調整を行い区立学校に万遍なく普及させていくべきと思うが、いかがか。

 各学校で展開される教育活動をより一層充実させるために、関係諸機関との連携や外部団体から講師を招くなど、専門的な知識を有する人材から協力を得ることは大変有効である。一例を挙げると、薬物乱用防止教室では、学校薬剤師、警察OBなど薬物に関する専門的な知識を有する方を外部講師として招いている。本教室は正しい知識と判断力、意思決定能力を育て、決して薬物を乱用しない態度を養うことをねらいとしており、全ての区立小中学校で実施をお願いしている。また、租税教室は、税務署の職員などが外部講師となり、希望する学校で実施している。次の時代を担う児童生徒に対して、なぜ税金が必要か、税金が社会のためにどのように使われているのかなどを日常の社会生活と関連付けながら学んでおり租税に対する認識を深める上で大変効果的である。このように、教育委員会として必ず実施することをお願いしている教室とともに、各学校の実態や特色、重点課題などに合わせ、各学校の判断で実施している教室がある。引き続き、関係諸機関や外部団体などとの連携を一層強め、外部の専門家を招いた教室の実施を推進していく。

この記事を書いた人

松原 元 ( まつばら はじめ )

大田区議会議員 令和大田区議団所属 松原 元 ( まつばら はじめ )

大田区生まれ、大田区育ち。
地域課題の解決のため、働きます!

36歳!一処懸命!