令和4年第1回定例会 二日目 一般質問

通所介護への指導監査について

平成29年度に介護保険事業者などへの指導強化を目的として指導監査担当課を設置している。設置後、年間何件の介護事業所を実地指導し、全事業所の対しての実地指導にいかほどの期間が必要か、不正防止の取り組みをどのようにに進めてこられたのか伺う。

介護事業所の実地指導については、適正な運営及びサービスの質の確保を維持させることを目的に平成29年度に55事業所、平成30年度に94事業所、令和元年度に92事業所、令和2年度については新型コロナウイルス感染拡大の影響もあるが64事業所に対して実施した。区内の介護事業所は、令和3年4月1日現在、885か所となっており、個別訪問での実地指導には相当の年数を要する。このため、新設の介護事業所については、開設から3か月以内に訪問指導を実施するとともに、毎年度、講義形式及び書面形式による集団指導を行うなど、事業所の適正な運営を担保できるよう指導助言に努めている。また、指導監査検査結果報告書を作成して指導結果を周知し、事業運営に関する注意を促している。更に、利用者などの生命又は身体に危害を及ぼす恐れがあると判断した場合や報酬請求の内容が著しく不正又は不当と認められる場合は、実地指導から、更に調査権限の強い監査に切り替えるなど機動的に対応している。区としては、引き続き、より多くの事業所指導を行うよう努めるとともに、都の指導検査部門や関係各課と連携し、適切な事業者指導を実施していく。

実地指導前に事前に連絡を入れ、予定どおりに実地指導に訪れれば、事業者は如何様にも作文できる。訪問期間に幅を持たせる、ランダム要素を持たせるなどの変更が必要ではないか。また、あえて報酬の高い要介護度が高い利用者を集め介護度に則った十分なサービスを行わないなど、実地指導の際、利用者の介護度構成などは確認して評価を行っているのか、伺う。

実地指導については、厚生労働省が定める介護保険施設など指導指針、介護保険施設などに対する実地指導の標準化・効率化などの運用指針に基づき実施している。その運用指針では、事業所への事前連絡については原則として1か月前までにその旨を通知することとされている。虐待などで利用者や事業所関係者からの情報提供など、不正が疑われる場合には事前通告を行わず実施する。また、利用者の要介護度の分布などについては、事前に給付実績を確認し、実地指導当日に関係書類を確認の上、管理者などヘヒアリングを行い、適切な介護サービスが提供できているか指導助言を行っている。今後も適切な事業者指導を行うとともに、法令改正などに対応できるよう助言を行い、区内事業所による介護サービスの質の向上を図っていく。

介護職員の処遇改善手当が給与に明記されておらず、総額として最低賃金を下回る場合もあると聞いている。事業者や労働者に賃金環境を理解する仕組みを整えることにより、介護人材が集まる好環境を作り出すことができると思うが区はどのように考えているのか。

区としては、介護職員の労働環境を整え、人材が多く集まる環境を整備することは、介護サービスの向上に関して重要なことと考えている。介護職員の処遇改善については、介護保険制度において、一定の要件のもと、処遇改善加算が事業者に給付されており、サービスの種別により異なるが、平均月額1万5千円から3万7千円程度の加算が行われており、令和3年度の介護報酬改定においても、その強化が図られている。処遇改善加算は、事業者から処遇改善計画書を都や区に提出後、加算の請求を行い、介護報酬とともに給付する仕組みとなっている。また、実際に介護職員に支給しているかについても、事業者から実績報告書の提出や介護職員に対する賃金体系などの説明を義務づけており、処遇改善のための加算額が確実に職員の処遇改善に充てられていることを担保している。区としては、高齢者を含めた介護人材の好環境を整えるため、実施指導や集団指導などを通して、事業者に向け、引き続き、介護職員に対する賃金体系の説明義務や最低賃金などの法令遵守の周知徹底に努めていく。

区内交通不便地域解消について

交通不便地域解消に向けた取り組みにおいて、  区はこれまで、「地域住民からの発議を待つ」、「たまちゃんバス本格運行の成否を待つ」、旨の発言を行っているが、行政主導にて、来る高齢化時代に対応した交通環境整備を期待する。特に、勾配の極めて激しい田園調布地区と中馬込地区、南馬込地区の3地区に関しては不便解消を優先して議論すべきであるが、区の見解を伺う。

平成29年度に策定した交通政策基本計画の中で、駅やバス停から離れた地域や、台地部などの高低差のある地形により、移動が容易ではない地域などを交通不便地域として位置づけ、改善することを基本的な方針としている。この方針に基づき、コミュニティバスだけでなく、多様な交通手段について、調査、検討を進めている。現在運行しているたまちゃんバスは、本格運行へ移行したが、新型コロナウイルス感染症の影響により利用者が減少している。昨年度と比べ、利用者が徐々に回復しているものの、依然として厳しい収支状況が続いている。運行ルートや運行本数、利便性向上や、事業収支における欠損補填の在り方を含め、様々な課題もある。今後は、たまちゃんバスのこれまでの取り組みや改善点などを検証した上で、新型コロナウイルス感染症の影響、高齢化社会への対応といった、社会情勢の変化を注視し、交通不便地域解消に向けて検討を引き続き行っていく。

先日、神戸西方に位置する垂水区を走る塩屋コミュニティバス「しおかぜ」の実態調査を行ったところ、急勾配で、道路幅員に余裕がない土地でのデマンドタクシーや、ワンボックスサイズ車両の有用性を目の当たりにした。大田区においてもこれらの運用を第一に検討してみては如何か。また、現在運行中のたまちゃんバスに関しても車両維持費の高騰を鑑み、車両規模の適正化を検討すべきと考えるが見解を伺う。

維持費やバスル一トの変更など、様々な角度から検討を行っている。また、高齢者や障がい者、小さな子ども連れの人などの交通弱者に関する交通政策について、国や都、他自治体などの取り組みや規制緩和の動向について絶えず調査を行っている。地域の実情に見合ったデマンド型交通について、今後一層検討していく必要があり、需要がどの程度あるのか見極めていく必要がある。一般的にデマンド型交通は、路線定期型交通に比べ、利用者1人当たりの運行経費は高くなる傾向にある。車両をワンボックスサイズとし、小型化した場合、乗り残しの発生、車椅子やベビーカーなどの利用車内空間も必要となる場合もある。たまちゃんバスについては、地域の方との話し合いの場である作業部会などを通じて、車両規模や燃料費が削減できる電気バスなどについて検討していく。今後も引き続き、あらゆる交通手段による移動方法について、検討を進め、利便性増進に努めていく。

この記事を書いた人

松原 元 ( まつばら はじめ )

大田区議会議員 令和大田区議団所属 松原 元 ( まつばら はじめ )

大田区生まれ、大田区育ち。
地域課題の解決のため、働きます!

36歳!一処懸命!