令和3年第3回定例会 二日目 代表質問

令和3年第3回大田区議会定例会(第2日) 代表質問 松原 元議員(令和)

大田区のまちづくりについて

 蒲田のまちづくりと新空港線の双方の前進に対する大田区の決意を伺いたいと考えております。近年、大田区はこれまで悲願としてきた新空港線蒲蒲線事業に、まちづくりをセットとの考えを示し、その双方の実現に向けて尽力されてきたとを、令和大田区議団は深く理解し、これを強く後押しするものであります。この間、鉄道都市づくり部の新設による体制強化や、公民連携による蒲田駅東口再開発等の、区の取り組みを注視してまいりました。新空港線蒲蒲線事業の成就により、蒲田の町が一新される。古き良きとは言い難い蒲田の街が、都市の発展という意味では近隣自治体の後塵を拝してきた蒲田の街が、パチンコスロットの激戦地区である蒲田の街が、中国資本に侵食されつつある蒲田の町が、大田区民の気持ちが通い自然と集う街に、真に大田区の中心地となり、いつか城南地区をも牽引する存在になってほしいと夢見ております。以前、新空港線蒲蒲線事業と町づくりを絡め、蒲田の空に橋を架けることを提案された同僚区議を皆様ご記憶でしょうか。その是非は置いておいても、やはり街づくりは多くの人々に夢を抱かせることができます。コロナ渦、この閉塞感を打破する起爆剤として本事業の価値はむしろ高まっているとも言えます。

しかし、要となる新空港線の進捗に強い懸念を抱いております。具体的に申し上げますとの東京都との都区協議の進捗についてであります。また、江東区が都に求める地下鉄8号線延伸の進捗とも状況は比較されます。中央防波堤外側埋立地の帰属を争った江東区であります。先の帰属問題の結果が満足のいくものであったとは思いません。松原忠義大田区長に於かれましては、臥薪嘗胆の決意のもと、危機感を持ち、事に当たっていただきたいと考えております。この松原忠義大田区長14年余りの区政の下で、着々と進められてきた新空港線蒲蒲線事業、この成就にかける区長の真心からの決意をご答弁願います

 蒲田のまちづくりと一体的に進める新空港線は、昭和60年代から取り組んできているように、その実現は区の悲願である。実現に向け、区議会をはじめとする関係者の皆様との連携を更に密にしながら、引き続き、私が先頭に立って全身全霊で取り組んでいく。

新型コロナウイルス対応について

 一昨年のコロナ禍以前と、現在の非常事態とを比較して、松原忠義大田区長は、如何に大田区民の声に耳を傾けてまいりましたか。ご答弁願います。

 新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が延長されている状況下において、会議の在り方をはじめ、皆様の行動の自粛もお願いしているところである。このような中ではあるが、常に模索を行い、皆様からの貴重なご意見を頂戴できる場面を設けてきている。

 区財政は今後2年で約300億円の財源不足が想定される厳しい状況です。このような財政状況では不要な歳出を如何に削り取っていくかが重要であります。我が令和大田区議団と致しましては、これまで区の観光施策に関して、予算削減の必要であると主張してまいりました。需要があれば、人は自ずと足を運ぶわけであります。故に、大田区が昨年度全事務事業の見直しにより、観光振興費を39%削減、本年度も、本年度も昨年度当初予算から比較して6割近くにまで減額されたことを高く評価するところであります。 国内の人流も制限される状況です。大田区に実利をもたらす、言うならばお金が落ちる施策でない限りは、観光振興に関する施策は一旦立ち止まり、更なる転換をすべきであると考えます。大田区には趣深い名所が多数あります。しかしこれらは、必要最小限のコストと最大限の知恵をハイブリッドした広報をすれば十分であります。例えば現在実施中の大田区学、ハネピョン散歩などは区職員の努力が感じられます。是非予算をかけずに発展させていただきたく考えております。では伺います。今後の観光施策について区のお考えをお示し下さい。

 未だコロナ禍の終息は見通せないが、ワクチン接種が進む中、政府は今後、条件付きで行動制限を緩和する方向性を示しており、区内経済や区民生活は、リスクを回避しつつ新しい日常の下で次のステージへ移行するものと考えている。区はこうした動きを的確に捉え、これまで培ってきた経験や観光関連事業者とのパイプを活かしつつ、デジタルを活用したさらなるネットワークの強化や、区民・事業者が観光の担い手として活躍できる仕組みづくりを進めるなど、アフターコロナ、ポストコロナを見据えた観光政策の推進を通じて、区民生活や区内経済に活気を取り戻すべく、様々な取り組みにチャレンジしていく。

 このようにワクチン接種が進んだ今、これまで無かった課題が生まれたと実感しております。それは、ワクチン接種を行えない、または行わない方々に対して、他者からの接種の強要や、差別的な取り扱いや、等の不利益が与える行為であります。正式な名称ではありませんが「ワクチンハラスメント」といわれる現象です。私も不利益という程ではありませんが、知人との打ち合わせの折、ワクチン接種の有無を尋ねられ、結果、日延べになったことが何度かありました。ワクチン接種が一つの社会的な義務の様な雰囲気となり、未接種者に対する見方に若干の懸念を抱きます。思えばワクチン接種開始時も様々なデマが国内外で飛び交いました。大田区と致しましては、区長が一層舵を取り、旗を振り、ワクチン接種に関する正確な情報を区内に周知広報して接種率の向上を目指すとともに、未接種者対しても不利益を被らぬようにワクチン接種はあくまで「努力目表であること」、身体的理由等で一定割合の方々は接種できなことを、詳らかに区内に周知されるべきかと考えますが、松原忠義大田区長のお考えをお示しください。 

 接種を受けていないことを理由に、差別的扱いをすることはあってはならない。正しい情報を積極的に発信していく。

防災対策について

 直近では、一昨年、令和元年台風19号により区内各所被害が発生し、殊に田園調布の丸子川と多摩川に挟まれた地域は極めて大きな浸水が発生、被害は甚大でありました。ここにお集まりの同僚の皆様方もその惨状を記憶されているかと思います。一部において水害の予測される地域に家を持つ方々自身の、自助の不足を問う声もありましたが、身の丈程の浸水を食い止めることは個人の努力を超える事態であると考えます。これまで令和大田区議団と致しましては、浸水被害の原因究明と、広域連携による同様の事態の阻止を求めてまいりました。去年の代表質問において、松原忠義区長から、「河道の土砂掘削や樹木の伐採による流下能力向上等のハード対策と、マイ・タイムラインの取組推進等のソフト対策が一体となった「多摩川緊急治水対策プロジェクト」を今後おおむね5年から10年間で進めていくことと」とのご発言がありました。是非、この間の取り組みと大田区にもたらす効果、恩恵をご答弁願います。

 国や都、流域自治体が役割を分担し、水害を軽減させる治水対策を推進している。区においては、都や隣接区と情報伝達及び排水活動の合同訓練を行い、水防活動態勢の強化に努めている。また、六郷地区に、迅速な水防活動への取り組み強化を目的として、水防資機材センターを整備している。引き続き、関係機関や多摩川流域の自治体との連携を強化し、ハード・ソフト両面の総合的な対策に取り組んでいく。

 田園調布において整備が進められている(仮称)田園調布水防センターが、被災地域に整備される意義、如何に地域の自助と共助、公助を結び、地域の防災力を高める存在として機能されるのか、ご答弁願います。

 排水ポンプ車や水防資機材、河川状況のモニターなどを配備することで、現地における水防活動に必要な情報を収集可能となる。周辺地域が停電した場合においても、上沼部排水樋管における排水活動を継続的に実施できるように非常用電源が確保可能な施設としている。さらに、地域での防災訓練やマイ・タイムラインなどを学ぶ場としても活用いただけるよう、地域の防災力を高める取り組みも進めていく。

 現在、区内には、各地域に大小さまざまな防災組織がありますが、その多様性故に練度や規模、目的とする活動内容に大きな違いが生まれていると考える次第です。以前、消防団や市民消火隊を一例にあげ、訓練内容の多様化について意見を申し述べましたが、今はその訓練も満足にできない状況であります。私と致しましては、区にはこの期間を、来る首都直下地震に向け、災い転じて福となす、転んでもただでは起きない、の気概のもと、区内の防災組織の構成や、機材、目標とする活動内容等を精査し、消火活動に偏りがちと思える訓練内容の改善も含め、見直しをすべきであると考えます。松原忠義大田区長のお考えをお示しください。

 現在、区内には215の防災市民組織や150の市民消火隊が組織されている。「東京湾北部地震」の被害想定では、区内で3万棟以上の建物が全焼し、火災に伴う死者数が全体の約6割に上るなど、火災による被害が極めて甚大であることから、こうした地域の防災組織においては、特に初期消火に重点を置いた訓練を実施している。災害時における防災市民組織の活動は、こうした初期消火活動以外にも、救出救護や避難誘導、被害情報の収集伝達など多岐に及ぶことから、区では、地域特性に応じた訓練を実施していただくよう働き掛けを行っている。また、大規模災害時には長期間の停電が想定され、こうした停電時においても被害情報の収集伝達活動が継続できるよう、蓄電池等の購入支援を行うなど活動体制の充実にも取り組んでいる。コロナ禍であっても地域の協働体による主体的な防災への取り組みが途切れることのないよう、引き続き地域の実状に配意した支援を行っていく。

教育現場の事案について

問 今年、大田区は「大田区いじめ防止対策推進条例」を制定しました。これまでの教育委員会中心の対応から、地域や警察等の関連機関及び区の関連部局を含んだ地域全体でいじめの継続発展を防止する仕組みづくりを目指していくことと理解しております。しかし、私が懸念しておりますのは、個々の事案の抽出とその評価が多角的な視点でなされるのか、また被害を訴える児童生徒らが自らの境遇を訴える権利、時には既にいじめではなく、犯罪行為から身を守る権利を有していることを、理解できているかという点です。子供たちの見える世界は、大人のそれとは異なります。各種報道等で見聞きする重大事態は、被害者が相談した教員や学校の判断のみで評価がなされ、対応が不十分となったこと、被害者自身が他に助けを求める先を見つけられず、事態が悪化したケースが散見されます。これらの点を踏まえ、区は条例制定を機に、いじめ対策を、殊に事案個々の抽出と判断を如何に進めていくのかご答弁を願います。

 条例に基づき、各学校では、学校いじめ防止基本方針を見直し、児童・生徒に授業などでいじめに対する理解を深め、いじめは絶対に許されないという自覚を促している。また、いじめを把握するためのアンケ一トなどを実施し、発見したいじめに対して、管理職や生活指導主任、養護教諭、スクールカウンセラーなどで組織された学校いじめ対策委員会が解消に向けた組織的な対応を行っている。その上で、教育委員会では、毎月行われる生活指導主任会で各学校のいじめに関わる情報を集め、警察や法務担当副参事、スクールソーシャルワーカーなどが、多角的な視点で個々の事案の対策を検討している。そして、更なる対応が必要な場合は、指導主事などを通じて、該当の学校に、具体的な対応策を徹底している。更に、有識者による大田区いじめ問題対策委員会を設置し、第三者委員会による調査が必要な重大事態が生じた場合、直ちに調査委員会に転用し速やかに調査に着手していく。このような重層的な体制構築により、いじめの抽出と問題への対応を確実に行っていく。

この記事を書いた人

松原 元 ( まつばら はじめ )

大田区議会議員 令和大田区議団所属 松原 元 ( まつばら はじめ )

大田区生まれ、大田区育ち。
地域課題の解決のため、働きます!

36歳!一処懸命!